キャットフードが酸化しているかどうかの見分け方
キャットフードが酸化しているかどうかの見分け方は、基本的に人間の食品が酸化した時の見分け方と同じです。食品が酸化した時は、以下のような変化があらわれます。
・酸化臭が漂い出し、風味が落ちる
・変色する(一般的に黒ずむ)
・酸味や苦味などが混じりあう複雑な味(まずい味)になる
・以前よりも粘りがある
この中で、フードが酸化したとわかりやすいのが「酸化臭」が漂い始めた時と、フードが変色した時です。
フードを開封してから時間が経ちすぎてしまった時や、保管状況が悪くてフードの劣化が心配になった時は、上記のような変化がないかどうか確認してみましょう。
臭い匂いが混じり合う、複雑な匂いがしたら
油脂がたくさん含まれているキャットフードが酸化すると、色々な成分が混じり合ったような複雑な匂いがします。それは油脂が酸化すると、油脂に含まれている様々な物質が反応し合い、様々な臭い成分が作られるからです。
具体的に油脂が酸化すると、以下のような臭い成分が作られます。
・デカジエナール……揚げ物の匂い
・ヘキサナール……青臭い匂い
・トランス-2-ヘキセナール……青臭い匂い、カメムシの匂い
開封後に時間が経ちすぎたフードもしくは保管状況が悪いフードから、上記のような匂いが混ざり合う複雑な匂いが漂ってきたら、なるべく猫には与えないようにしましょう。
またフードの酸化臭に敏感でいるためには、開封後のフードの匂いを覚えておくのがお勧めです。
また開けたてのいい匂いをなるべくキープできるよう、フードの保管方法も一度見直してみましょう。
キャットフードが黒ずんできたら
キャットフードの中には様々な成分が含まれており、その中には酸化すると色が黒ずんでくる(褐色化する)成分もあります。一般的に酸化の影響によって、色が褐色化しやすい成分には以下のようなものがあります。
・ポリフェノール……リンゴを切って放置すると酸化して茶色くなるように、ポリフェノールはもともと酸化しやすく、酸化すると褐色化しやすい性質があります。また、加熱すると抗菌作用を持つ性質もあり、その効果を期待して、キャットフードにもポリフェノールを使用している商品があります。 フードに使われているポリフェノールは加熱されているため酵素が失活されており、酸化が進みにくい状態になってはいますが、長期保存状態では空気中に含まれている酵素によってポリフェノールの酸化が徐々に進んでしまい、褐色化することがあります。
・油脂……油脂が酸化すると化学反応によってさまざまな臭い成分が作られるだけでなく、キャットフードに含まれている成分同士が化学反応を起こすことで、フードの褐色化を進めてしまうことがあります。
・糖類……焦げた砂糖がカラメル色になるように、糖類とアミノ化合物を加熱した際に褐色化することを「メイラード反応」と呼びます。キャットフードの中に含まれている糖類が酸化すると、そのメイラード反応によって、フードの褐色化が進むことがあります。一般的には加熱しないとメイラード反応は起こりにくいですが、長期間保存する食品の中でもメイラード反応が起こることがあります。
・アスコルビン酸……アスコルビン酸は大まかに言うとビタミンCのことです。アスコルビン酸がアミノ酸やタンパク質と接触すると、メイラード反応を起こして食品を褐色化させることがあります。そのためサプリメントなどではこの反応を防ぐためにアスコルビン酸を膜で包み、褐色反応を起こしにくいよう加工しているものがあります。ただしこのような加工がされていないビタミンCでは、フードの褐色化を進める可能性があります。
フードが酸化すると上記のような変化が起こることがありますが、日々成長し続ける猫をそばで見ているとどの位大きくなったのかがわかりにくいように、「酸化」という微妙な変化に気づきにくいことがあります。
臭いの変化は、開けたて当時の匂いを覚えておくことで気づくことがありますが、色の変化は気づきにくいため、スマホやデジタルカメラなどで開封時のフードの色を写真に撮っておくといいかもしれません。
また臭いの変化は、人間よりも猫の方が早く気づくため、猫の食いつきが悪くなったらフードの保管状況が悪くなかったか、開封後日が経ちすぎていないか振り返って見直してみるようにしましょう。