キャットフードに含まれる成分の中で猫に必要なものは何か
キャットフードは総合栄養食と表記のあるものであれば、猫にとって必須とされている栄養をバランスよくとることができます。ただし原材料として表示されているものの中には添加物を始め、猫にとって有用・必要なものなのかどうかわからないものが記載されていることもあります。
そこで、それらの判断に迷いやすいものの中から、猫にとっても有用・必要だと思われるものをピックアップしてみました。
トコフェロール
トコフェロールはビタミンEの構成成分で、酸化防止剤としての役割とビタミンEとしての役割の両方が期待できる成分です。魚をメインに使用したフードでは猫の黄色脂肪症を防ぐため、フードにビタミンEを添加することが推奨されています。
ただし天然のトコフェロールと合成トコフェロールでは体内で働く強さが異なり、合成トコフェロールは天然のものより働きが弱くなるため、主に酸化防止剤として使われています。
キャットフードの原材料表示では、天然か合成かまでは詳しく記載していないものが多いですが、もしより詳しく知りたい場合はフード・メーカーなどに直接問い合わせして確かめてみましょう。
アミノ酸類としてのリジン・メチオニン・タウリン
アミノ酸はタンパク質を分解した成分で、肉や魚など動物性食材に豊富に含まれています。その中でも猫にとって必須となるアミノ酸は、食材とは別にアミノ酸類として添加されていることがあります。
リジン……猫にとっての必須アミノ酸で動物性の食材に豊富に含まれています。リジンは熱に弱くフード製造途中で失われやすいため食材とは別に添加されていることがあります。
メチオニン……こちらも必須アミノ酸です。動物性の食材だけでなく、豆類や野菜の一部などにも豊富に含まれています。メチオニンは食材からもとれますが猫の被毛成分ケラチンを作る材料となることから、健康な被毛を維持するために別途添加されることがあります。またメチオニンは体で代謝されると尿を酸性にする成分となるため、尿路結石予防の目的で添加されることがあります。
タウリン……猫はタウリンを合成する能力が低いため、必須成分です。魚の血合い肉や動物の内臓などに豊富に含まれており食材からもとることができますが、フードの内容によって猫のタウリン要求量と差が出ることがあるので、別途添加されている場合があります。またタウリンは体内で目や心臓、肝臓などの健康を保つための重要な働きを担っていることから、各種疾患予防のために別途添加されていることもあります。
γ-リノレン酸
γ-リノレン酸はオメガ6系の多価不飽和脂肪酸です。卵や魚などにも多く含まれていますが、高齢猫の場合γ-リノレン酸を合成する能力が低くなることから別途添加されていることがあります。また皮膚や被毛の健康維持に役立つ成分として別途添加されることがあります。その他にも健康維持のためのサプリメント目的で、様々な成分がキャットフードには添加されていることがあります。
聞き慣れない名前の成分が添加されていると合成添加物や化学合成物質をイメージしがちですが、実際は健康維持のために使われている成分だという場合もあります。
キャットフードの原材料表示を見て、不安を感じる成分があった場合はどのような目的で使用されているのか、与えても安心なものなのか都度確認したり調べてみたりするようにしましょう。